人格否定は、職場でよくみられるモラハラのひとつです。
モラハラにいたってはいまだ曖昧な基準も多いため、どういった発言が人格否定モラハラにあたるのかが気になるところです。
そこで今回は、
・モラハラになる発言の基準
・モラハラに該当する具体的な発言
・職場で人格否定モラハラをされた場合の対処法
についてお話します。
1.「人格否定」は性格や本質を否定すること
モラハラ行為において広く認知されている人格否定の定義は「その人の持っている性格や本質を否定すること」です。
職場でいうと、その人の仕事の失敗や不出来そのものを注意するのではなく、その人の性格や本質を絡めて非難することなどがモラハラに該当する場合があります。
2.モラハラの人格否定の基準は“受け手がどう感じたか”
「該当する場合があります」という表現を用いたのは、人格否定モラハラは受け手が発言をどのように感じたかがモラハラの有無を決める大きなポイントになるからです。
例えば、「君はのろまな性格だから仕事ができないんだ」と同じ言葉をかけられても、全く気にしない人もいれば、致命的な精神ダメージを受ける人もいます。
モラハラ行為とは、精神的な攻撃を軸としているので、相手がのどうように感じているかがとても重要視されます。
つまり、人格否定発言になるかならないか、モラハラ行為になるかならないかは、受け手の感じ方次第なのです。
職場における人格否定モラハラの例を挙げてみましょう。
1.性格を否定する
その人が持つ性格的な個性を否定することは、代表的な人格否定にあたります。
(例)
・のろまな性格だから仕事ができないだろ
・○○さんみたいに愛想が良くないから出世できないんだよ
・○○が好きだなんて暗い趣味しているね
2.生まれや育ちを否定する
両親や育った環境も、人格の基盤となる大きな要素です。そういった要因を否定することも人格否定にあたります。
(例)
・田舎生まれなのに、よくこの会社に就職できたね(田舎生まれの方を蔑む発言)
・両親の育て方がよっぽど悪かったんだろう
・○○大学卒?大した事ないね
古来の日本は、生まれによって身分が決まることが当たり前だったため、近年までは学歴や生まれでその人の価値を判断する差別発言が、ある程度容認されているような風潮がありました。
しかし、これからはそういった発言はモラハラ行為とされ、淘汰されていくことでしょう。
3.見た目や身体的な特徴を否定する
見た目に関する否定的な発言も、人格否定モラハラに該当します。
(例)
・君みたいな不細工よりも美人に入れてもらったお茶の方が美味しい
・太っている人が近くにいると暑苦しくてたまらないんだよね
身体的な特徴に関する発言は、人によって捉え方が違うため、モラハラ基準が曖昧になるところではありますが、こちらも重要なのは受け手がどう感じているかです。
自分が傷ついたと感じているのであれば、それは紛れもなく、モラハラ行為になると心に留め置いてください。
もし、自分が上記のような人格否定モラハラを職場で受けているというのであれば、迷わず次の方法で対処してください。
1.発言内容と日時をメモして証拠を残す
問題にするかしないかは別として、自分が嫌だと感じたことはきちんとメモをとっておくようにしましょう。
モラハラがエスカレートした場合、専門窓口や人事課に相談することもあるかもしれません。その際に証拠を残しておけば、スムーズに対処してもらえる他、自分にとっても有利に話をすすめることができます。
2.会社のハラスメント窓口に相談する
相談できる上司や同僚がいない場合は、職場のハラスメント窓口に直接相談しましょう。相談したからといって、相手にそのことが知られるということはありません。
もし、ハラスメント相談窓口が無いという場合は地域の労基局に相談するという方法もあります。
職場モラハラにおける人格否定発言は、受け手が「モラハラと感じたか」が大きな要因になります。
実際に人格否定に関する発言を受けているという方は、その発言と日時、自分がどのように感じたかなどを正確にメモしておくことをおすすめします。
また、モラハラ発言に関しては、真に受けず、聞き流すのがいちばんです。人格を否定されると、ついつい自己嫌悪をしたり、自分に自信が持てなくなりますが、決して気にせず冷静に現実的な対応をすることが改善への近道でしょう。