モラハラ行為のなかでも、とりわけ夫婦や恋人間で起こるモラハラは、お互いの依存によって引き起こされている可能性があります。
どれほどモラハラをされても、なかなか別れることができないという方は、もしかしたら、知らず知らずのうちにモラハラ加害者に依存してしまっているかもしれません。
本記事では、モラハラと依存の関係について解説しています。
モラハラ加害者が被害者に依存することは、なんとなくイメージできますが、被害者が加害者に依存することもあるのです。
1.モラハラの陰に「共依存」
モラハラの加害者と被害者が互いに依存し合うことを「共依存」といいます。
共依存という言葉は、アルコール依存症を持つ夫と妻を援助する人達が使い始めた言葉です。
妻達はアルコール依存症の夫を克服させるために奔走し世話をかけますが、夫のアルコール依存症は回復するどころかどんどん悪化してしまいます。
しかし、妻は夫がどんな悪い状態になっても繰り返し後始末をし、許してしまうのです。
夫はアルコールだけでなく、妻にも依存してしてしまっているため、アルコール依存症はいつまでたっても回復しません。
また、妻は、アルコール依存症を持つ夫の世話を心のよりどころとしていたり、夫の犠牲になっている自分の姿に依存したりするため、夫の問題は永久に解決しません。
これはモラハラやドメスティックバイオレンスにも当てはめることができ、お互いがお互いに依存し合う「共依存」と呼ばれています。
2.モラハラ共依存関係の末路
ご覧のとおり、共依存は現在の環境に依存することが根底にあるため、環境が良好に向かうことは考えにくいものです。
むしろ、自体はどんどん悪化する方へ向かい、被加害者ともに破滅の末路をただることになりかねません。
モラハラ加害者に依存してしまいやすい人、つまり共依存関係に陥りやすい人には、次のような特徴があります。
1.自分がない
自分の価値や基準を持たず、常に相手の物差しを通してでししか物事を判断できない人は共依存に陥りやすいです。
相手に良く思われたい、人のために尽くしたいと思うこと自体はいいことなのですが、自分が無い状態でそれを過度に行えば、自分をどんどん追い詰め苦しくなってしまい、相手にすがることでしか生きていけないような状態になってしまいます。
2.自己肯定感が低い・完璧主義
自分に自信がないため、相手や周囲の反応でしか物事の良し悪しを判断できないことも共依存に繋がりやすいです。
また、自分の欠点を許すことができない、100%完璧でなければ満足できないという方も自己肯定感が低くなりやすく、相手に依存しやすい傾向にあります。
夫婦や恋人間では共依存が絡んだモラハラケースは多く、モラハラ行為があったとしても、別れたり離婚したりすることを望まない方も少なくないといいます。
それでは、どのようにすればモラハラの共依存から脱出できるのでしょうか。
1.共依存を意識する
共依存という概念があることや、自分たちが共依存している可能性があることを意識しましょう。
意識化するだけで、依存を原因とするネガティブな感情に振り回されにくくなります。
共依存についての心理学を学んだり、ネット記事を見たりするだけでも大きな効果があります。
2.自分の声に耳を傾ける
共依存の根本原因は、価値基準を自分に持てないことで起こる不安からくるものです。
自分はどんな人なのか、何を感じ、どんな考えを持っているのかを知ることも大変効果的です。
すぐに自分を理解することは難しいことかもしれませんが、自分の心に耳を傾けてみましょう。
3.周囲との繋がりを持つ
共依存は「孤独」とも密接な関係を持ちます。
孤独感から不安を持ち、相手に依存してしまうケースは非常に多いです。
モラハラ行為をする相手以外にも頼れる知人や友人を探しましょう。
専門家によるカウンセリングを受けるのもひとつの手です。
「この人しかいない」という状態から距離を置くことが重要です。
モラハラ行為は被害者と加害者による共依存が隠れているケースがあります。
自分がモラハラ被害を受けているという方は、知らず知らずのうちに、モラハラ加害者に依存してしまっている可能性があることを自覚しましょう。
共依存を克服することは容易ではありませんが、まずは自分の依存の可能性を意識することからはじめてみましょう。
自分の心の声を聞くことや、周囲との繋がりを持つには専門家によるフォローを受けることも助けになります。
必要に応じてカウンセリングを受けるなどもおすすめです。